デジタル時代のサービスマネジメント

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2017.03.01

ITIL®とは何か 〜サービスマネジメントの重要な点を学ぼう〜 その4 サービス品質と顧客満足度

「ITIL®とは何か 〜サービスマネジメントの重要な点を学ぼう〜」として、数回の連載でサービスマネジメントの最も重要な基盤となる知識を解説したいと思います。
 
前回は、サービス戦略とサービス・ポートフォリオについて、その関係性も含めて解説しました。 
第4回目は、サービス品質と顧客満足度について解説します。
 
※末尾にITILのプロセスとの関連を追記しました(3/2 16:00)。
 

サービス品質にはどのような性質があるのか?

サービス品質には「実際に提供したサービス」という観点と、「顧客が知覚したサービス」という二つの観点があります。例えば、顧客がハードウェアの有料技術サポートの依頼をした時に、サービスプロバイダが部品を交換してすぐに解決したとします。この時に、技術的には極めて妥当な処置をしているのでサービス提供内容としては問題ないですが、顧客は「重大なトラブルだと思ったのに時間をかけてきちんと診断していない」と不満を抱くことがあります。
この場合では、実際に提供したサービスは「(技術的には妥当な)部品の交換」ですが、顧客が知覚したサービスは「短時間の診断」です。このように、「実際に提供したサービス」と「顧客が知覚したサービス」は異なることがあります。
これが、「SLAの目標値が達成できていることと、顧客が満足しているかどうかは別物だ」という現象の正体です。
したがって、サービス品質の管理には、SLAの測定などによって品質基準に則ったサービス提供ができているかという評価と、顧客満足度調査によって顧客がサービスをどう認識しているかという評価の両方が必要になります。
 
サービス品質
 

顧客満足度がなぜ重要なのか? 

顧客満足度の向上は、サービスに対して肯定的な態度を持った顧客の行動につながります。これは、例えばリピート注文につながり売り上げ増に貢献することが挙げられます。ただし、顧客満足がサービスの売り上げ増に全て直結するわけではありません。サービスの購入行動は満足度とは関係のない要因にも左右されるからです。サービスプロバイダにとっては、満足度の低いサービスは顧客の否定的な態度につながり、売り上げ減少に直結するという現実の方が重要でしょう。
 
では、売り上げに貢献しないなら顧客満足度調査は意味がないと思いますか?そんなことはありません。
顧客満足度は、「サービスの価値を顧客がどのように認識するか」という点で極めて重要な情報が得られます。価値の低いサービスは満足度以前に見向きもされないということを思い出してください(参照記事)。 サービスの価値について常に評価を受けるということは、サービスプロバイダにとって命綱とも言えます。
 

期待をどのように設定するか?

顧客満足度は、顧客が期待していることと、顧客が知覚したサービスとのギャップです。期待と合致した経験を得られたと認識すれば満足しますし、さらに期待を上回れば喜んでくれます。
逆に、顧客の期待が実際に知覚したサービスを下回ると不満を感じます。 
このように、顧客満足度は主観的なものです。したがって、サービスプロバイダの行動としては「期待の設定」が非常に重要になります。
顧客の期待の設定は以下のような様々な活動を通じて行われることになります。
 
・顧客とビジネスについてコミュニケーションをとり、顧客が何を求めているかをよく知る
・顧客に対して自分たちが何に貢献できるかをよく説明する
・サービス提供内容についての明確な説明
・サービスレベルの要件を明確にして合意する
・サービスレベルアグリーメント(SLA)で明確にサービス提供のレベルを合意する
・サービスレベルの達成度の報告
・サービスレビューを通じて、顧客が何に満足し、何を改善してほしいと思っているかをよく知る
 
顧客と個別に面談ができるような環境であれば、上記のようなことを個別に話すことができます。
コンシューマ向けのサービスなど顧客と個別に面談をする機会がとれないようなサービスでは、顧客とどのような関係構築をしていくのかという「リレーションシップ・マーケティング」が、顧客満足の改善にとって重要になります。
 
ITILの事業関係管理プロセスで顧客満足度を重要視しているのは、顧客との関係を構築して顧客満足を獲得することが、サービスプロバイダにとって成功の鍵となるからです。
 
ITILのサービスレベル管理では、提供されるサービスのレベルの、特に「サービスの保証」に関する顧客満足度に注目します。また、SLAは顧客とサービス提供のレベルを事前に合意するものなので、顧客の期待の設定としても重要な役割を持ちます。
 
ITIL® は AXELOS Limited の登録商標であり、 AXELOS Limited の許可のもとに使用されています。すべての権利は留保されています。 

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