デジタル時代のサービスマネジメント

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2016.12.17

ITIL®とは何か 〜サービスマネジメントの重要な点を学ぼう〜 その2 サービスの価値

「ITIL®とは何か 〜サービスマネジメントの重要な点を学ぼう〜」として、数回の連載でサービスマネジメントの最も重要な基盤となる知識を解説したいと思います。
 
第二回目は、サービスの価値について解説します。
 
前回の記事では、ITは「ものづくり」の要素もありつつも、その本質はサービスであるという点に触れました。今回は、モノとサービスの関係を掘り下げてみたいと思います。
 

サービスとは何か? 

サービスは「顧客に特定のコストやリスクのオーナーシップを負わせない」で提供されなければなりません。例えば、飲食店ではサービス提供のために食器類や厨房設備などが必要ですが、これらの調達やメンテナンスは飲食店の責任です。また、食材の仕入れや衛生面の管理も飲食店の責任です。顧客はこれらの設備を所有しませんし、提供される料理に対する責任も負いません。顧客が得るのは総体としての価値であって、モノの提供を求めるのではありません。
 
さらにITIL®では、「サービスとは、顧客に価値を提供する手段である」と定義されています。
モノ(製品)にも色々な機能が付いており、これがモノの価値となります。しかし、多機能化した製品についているたくさんの不要な機能は、ある顧客にとっては価値がないのです。顧客はいらない機能にまでお金を払いたくありません。
このように、モノを提供するのではなく、「ある顧客にとっての価値の部分だけを届けましょう」というのがサービスの本質です。
 

サービスの価値

サービスの「価値」は最終的には顧客が決めます。そして、何が価値なのか?は顧客により異なります。
また、サービスの価値は顧客が口にした言葉だけでは十分に定義できないことがあります。なぜなら、顧客自身も本当は何が必要なのかを理解していないケースが多々あるからです。
したがって、サービスプロバイダは顧客の声を聞くだけの「ヒアリング」だけでなく、顧客が本当にやりたいことや困っていることを分析する能力が必要です。
 
「我々のサービスの価値とは何か?」は、サービスプロバイダにとってもっとも基本的かつ根本的な質問です。そして、どのようなサービスやモノの組み合わせで顧客に価値を提供するかということを管理しなければなりません。サービスプロバイダは、様々な種類のサービスとモノを組み合わせてどのようなパッケージングにするのかをデザインする必要があります。
 
 

サービスパッケージ

様々な種類のサービスとモノを組み合わせたものを、サービスパッケージと呼びます。
 
モノ中心の世界では、サービスはモノ(製品)の購入後のメンテナンスなどの「付加的なサービス」だという考えがありますが、このような考え方は改める必要があるでしょう。これからはサービスとモノを一体化したパッケージにして顧客に価値を提供するという、サービス中心の考え方が重要です。

servicepackage

 
サービス中心の考え方に転換する理由としては、以下が挙げられます。
 
  • ニーズの変容。
    既存のモノ(製品)をさらに高性能化、あるいは多機能化していくという直線的な進化では、かえってニーズから遠ざかっていく可能性もあります。そもそもモノを所有すること自体が顧客ニーズとしてどれほどのものであるかを検討しなければなりません。

  • 技術革新。
    特にインターネットを中心とした技術革新により、情報の流れのスピードおよびコストが下がり、モノが簡単につながるようになりました。これにより、単体のモノだけで止まっていた価値提供が途切れなくなり、価値が「モノの壁」を超えて連鎖していくサービス化が進んでいます。

  • 差別化。
    現実問題として、モノ単体の品質は多くの顧客にとって似たり寄ったりになっています。競合他社に顧客を奪われないためには、モノを使い始めた後で高い満足度を獲得しないといけません。競争の中心は有形のモノから無形の価値(つまりサービス)に移ってきています。
 
 
自動車を例にすると、新しいカーシェアリング・サービスは、インターネット経由で自動車の予約やキャンセルが簡単にでき(利用1分前までキャンセル可能です!)、施錠の管理なども人手を介さずに管理されています。15分単位で24時間利用でき、給油義務もありません。通勤に車を使うなどして毎日車に乗らない人は、ローンを組んで自動車を購入せずに、カーシェアリング・サービスを活用することは合理的な選択肢になっています。
これは、社会にとって自動車が不要になったのではなく、個人で自動車を所有する価値が相対的に下がっているのです。
結局のところ、人はニーズを満たせればよく、そのためにモノを所有する必要性が少なくなります。サービスを活用してニーズを満たしてしまうことができるようになるからです。
 
このように、サービス中心の考えの根幹は、「顧客ニーズの充足」をどのように実現するのかという問題に取り組むことです。もちろん、よいサービスを実現するためにモノづくりの高い技術力も重要ですが、技術が顧客ニーズとどのように関連するのかを管理することが重要です。
 

ITIL®️とは何か その1はこちら

 
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