デジタル時代のサービスマネジメント

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2017.02.01

ITIL®とは何か 〜サービスマネジメントの重要な点を学ぼう〜 その3 サービス戦略とサービス・ポートフォリオ

「ITIL®とは何か 〜サービスマネジメントの重要な点を学ぼう〜」として、数回の連載でサービスマネジメントの最も重要な基盤となる知識を解説したいと思います。
 
第三回目は、サービス戦略とサービス・ポートフォリオについて解説します。
 
前回の記事では、サービスの定義と、サービスの価値とは何かということを解説しました。今回は、サービス戦略とサービス・ポートフォリオについて、その関係性も含めて解説します。
  

やらないことを決める

サービスの価値を考えるときにもう一つ重要なことがあります。それは「あらゆる顧客のニーズを完全に満たすことは極めて難しい」という点です。したがって、サービスプロバイダは「やらないこと」を決めることが戦略上重要になります
 
「やることとやらないこと」はサービスプロバイダの基本方針として明示されます。そしてそれらが、サービスの基本コンセプトとして重要な差別化要因となることがあります。
例えば、スターバックスコーヒーは全店禁煙ですが、当初は画期的だが長続きしないと見る向きもありました。ところが、実際には「コーヒーの香りを楽しんでほしいので禁煙にする」というのはスターバックスのサービスコンセプトとして地位を確立しました。これは見方を変えると「喫煙者向けサービスはやらない」という差別化戦略です。
このように、やらないことを決めるというのは戦略的に重要な意味を持つことになります。
 
「あれもやろう、これもやろう」といった詰め込み型サービスは「ほかと何が違うの?」という質問に答えられないような、特徴が無く差別化できないサービスになってしまうという欠点もあります。「うちは全部できます!」と言えれば良いのですが、すべてにおいて競合に対して秀でることができるかは現実的に考えるべきです。
また、顧客のリクエストにすべて答えるという「リアクション型サービス」では、独自の価値提案ができなくなります。さらに、カスタマイズ要望に応えていくうちにサービスプロバイダ内部のリソースと能力が維持できなくなるというリスクも付きまといます。オーダーメイド服の仕立て屋さんのようにカスタマイズ料金を請求できればそのような戦略も良いですが、それが現実的かどうかもよく考えるべきです。 
 
以上のように、サービス戦略では「我々は何をやるべきなのか?」を指し示すだけでなく、「何をやらないのか?」も明確にしたほうが良いでしょう。
 
 

サービス・ポートフォリオ

サービスの価値は単なるサービスの企画段階のアイデアではありません。サービスの価値は、開発段階から運用段階を通して継続的に管理される必要があります。この「価値の管理」の中心となるのがサービス・ポートフォリオ管理です。
サービス・ポートフォリオ管理には、以下の目的があります。
 
・サービスが明確に定義される
・適切なサービスの組み合わせを持つ
・IT投資と事業成果とのバランスをとる
 
サービス・ポートフォリオは、サービス・プロバイダのサービス全体を見渡して、どのサービスがどのような価値を提供し、サービスがきちんと収益を上げるのかを管理します。これにより、サービスへの投資の優先度付けが、しっかりとしたマネジメント基盤の上で管理されるようになります。
また、相対的に価値の低いサービスから価値の高いサービスへ、サービス・プロバイダ全体の軸足が速やかに移行されるように管理されます。サービス・プロバイダが何に価値を見出すか、また移行するタイミングがいつなのかは、サービス戦略に基づく判断によります。したがって、サービス・ポートフォリオとサービス戦略は切り離すことはできません。
 
 

サービス・プロバイダのリソース管理

また、サービス・プロバイダの限りあるリソースをどのように配分するかを決めるためにも、サービス・ポートフォリオは重要です。
どのサービスにどのくらいのリソースを割り当てれば良いかは、基本的にそのサービスに対する需要で判断します。人気があり十分なパフォーマンスを発揮しているサービス(=価値の高いサービス)は、その需要の増加に対処するためにリソースを追加で割り当てることが可能になります。逆にほとんど使われていないサービスは廃止の決定がなされます。その中間にあるサービスは(ほとんどのサービスはこの部分に該当すると考えられます)、存続のために追加投資をしてよりニーズの充足を目指すのか、非効率なところの改善に着手するのかなどが判断されます。
 
  

サービスプロバイダの能力開発

サービス・プロバイダがどのような「能力(capability)」を持つべきかは、戦略的な判断が必要です。なぜなら、それはサービス・プロバイダが提供する価値により決定づけられるからです。したがって、能力開発もサービス戦略により推進されます。
ITサービス・プロバイダの能力というと、ITの専門知識やプロジェクトマネジメントなどのスキルなどが挙げられるようですが、これは一般的に戦術〜運用レベルの話です。もちろんこれは地に足のついた議論で、とても大切です。
ただし、ビジネスが大きく変わり、組織の能力も大きく変わるというトランスフォーメーション(組織改革)が必要となると、このような個人のスキルセットの充足だけでは全く十分ではありません。このような状況下では、サービスプロバイダのパフォーマンスをあげる能力(コンピテンシー)を再定義するなどの人材管理の側面と、組織のマネジメント・プロセスを変更し定着させるといった組織開発的な側面との両輪で実践する必要があります。
 

ITILとは何か その1はこちら

ITILとは何か その2はこちら

 
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